この理念にたどり着くまで、沢山の施設を見てきました。
施設の生活というのは、私たちの日常生活の常識と違う常識が存在し、働いている私たちは、施設の常識が日常の生活の非常識になることもあるということを忘れがちです。あちこちに鍵がついていて、外出も制限され、お酒も飲めない。それが当たり前のように存在する施設。そういった沢山の施設の中で、自分や自分の親が入居しても良いと思える場所は殆どありませんでした。「その施設で働くことが出来ても、自分たちが住むことはできない」という矛盾について考えました。いずれ自分たちも年をとり、同じ人間として、介護が必要な状態になった時に、住むことが出来る場所はあるのだろうか・・・と。
そこで、「自分たちが年をとった時に生活したい場所」という言葉を思いつきました。しかし、一方で、この理念は非常に厳しく、日々のケアの中身を自分自身に問いかけるものでした。今、自分がしていることは、自分が年をとった時にされたい事なのかどうか。毎日、そのことを考える仕組みを、この理念がつくりだしています。
他人事にならずに自分事として考えるように。私たちは日々、自分たちの姿勢と向き合うこの理念とともに、府中みどり園で生活支援をしています。玄関や園内は出来る範囲で、自由に入居者の方が歩いてもらえるようにしています。玄関やエレベーターにも暗証番号はなく、安全面に配慮しながら自由さを大切にしています。
晩酌のお酒が切れたから」と隣りのファミリーマートに買いに行かれる入居者様もいます。一斉に食事して頂いたり、一斉に起きて頂いたりしていません。出来る限り、時間はその方それぞれの時間で、スタッフがその方の時間について考えながら動きます。機械のお風呂もありません。ゆっくり入ることができるように青森ひばのお風呂があります。
「働いている自分たちも年をとった時に住みたい場所に。」
そのことを常に自分の心に置いてこれからもずっと考えて行きたいと思います。
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